2022年夏アニメとして放送されていた「リコリス・リコイル」の最終話が放送されたので感想を。
結論からいうと2022年夏アニメNo1の出来である。特に1~3話はまじで最高である。
そのあとはだらだらと流して最終回といった感じ。
以下は詳細。
ネタバレありで、ネガティブ意見多めなので注意。
良作ではあったが、名作ではなかった、俺の中で。
そもそも、良作とか名作とはなんぞやというのはあるが、とりあえず惜しい作品ではあった。
美少女ガンアクションものとしてみれば作画もいいし出来は良いのだが、中途半端に主題(テーマといってもいいかも)が見え隠れするからである。
主題とは選択の肯定である、または人生、主義の肯定でもいい。
肯定されない二人、結果として悲しい物語に
千束は殺しの才能があるのにも関わらず人を殺したくない。という矛盾を抱えているが結局最終話で解決されることはなかった。
明るい美少女ガンアクションものとするのであればこの矛盾はいらなかったと思う。
単純に千束は超人的な運動神経を持っていて単純悪であるテロリストを殺すのではなく倒していく路線でよかったはずだ。
なのに、殺しの才能がある設定だったり、心臓が弱く人工心臓で生きながらえてる設定がある為に千束は死に関して近すぎる。
更に12話で「吉松を殺さないと千束が死ぬ」という選択肢で千束は自分が死ぬを選択したにも関わらず、結局13話でミカが代理で吉松を殺すことによって千束は生きることになる。
これが個人的にかなり納得がいかない、千束の選択を無下にするからである。
とは言うものの、全体を通してメインキャラは死から遠ざかった所にいたので千束が自分が死ぬという選択肢もあまり説得力もないのだが…。
たぶん、明るい話にする為に殺しや死といったテーマの話は入れなかったのであろうが、それであれば尚更である。
あと、13話の最後で千束が吉松からのカード受け取った時にあまり取り乱さなかったのも変だなと思った。
千束は自分が生きている=吉松が死んだとわかるはずだが…?
結局何が言いたいかというと千束の「人を殺すぐらいなら自分が死ぬという選択」と、吉松の「使命の為なら千束に殺されるという選択」の両方を同時に否定してしまった為に感動できないのである。
千束と吉松の両者の選択を否定するのであればこのテーマはいらんかったんじゃないかということである。
逆に冒頭で1~3話が最高だと言った理由は千束がたきなを全肯定するからである。
というのも、1話冒頭でたきな自分でも分からずに命令を無視してテロリストを皆殺しにした結果、DA本部からリコリコ送りにされるわ、味方を撃ったなどとあらぬ噂を流され、たきながすべてだといったDAに居場所がなくなる。
それでも千束はたきなのした選択は正しいと言って肯定してくれる。
3話の噴水のシーンの千束の「嬉しい、嬉しい」はたきなと出会えて嬉しいのとたきなの選択は嬉しいことだと褒めている。
このように他の全員がたきなを否定しても千束は肯定してくれるから感動するのである。
1~3話でたきなの話は終わりで、4話以降は千束(と吉松)が誰に肯定されるかの話になるわけである。
が、結局最終話で両者は肯定されずに吉松は死に、千束は死を覚悟したのに生きることになる、これは結果として悲しい物語である。
千束が死ぬ物語にしたくなかったのだろうが、だったら千束は殺しの才能をたった1回だけ吉松の為に使ってもよかったのではだろうか。そこでたきなが千束のした選択は間違いじゃないよ千束に生きててほしいって展開であれば1~3話を逆転して、たきなが千束を肯定することになって千束とたきなが築いてきた絆に意味がでてくるんじゃないだろうか。
真島の謎
あと千束に敵対するキャラとして真島が登場するが、正直魅力的なキャラに見えなかった。
バランスをとる才能ってのがそもそもよくわからんけど、その結果やることがテロってのがよくわからない。
ちょっと無理あるんじゃないかっていう設定
特にDA周りの設定が無理あるんじゃないかっていう感じ。
国の非合法組織なのに規模がでかすぎる、3話を見る限り数十人単位でいるし、京都支部まであるということは全国的にいることになる。それで同じ制服をきて存在しないことになってる組織は無理があると思った。
あと組織の位置的には公安の一部になると思うのだが、公安本体の影がまったくないのが説得力ないと思う。
延空木のオープニングセレモニーという多くの一般大衆やカメラが多くいる所にわざわざ非合法組織のリコリスを配備するのは流石にどうかと思う。
もう使われなくなる旧電波塔にリコリスを配備するなら分かるけど。
あとリコリスの男の子版のリリベルの存在も謎。似たような非合法組織2つも必要?
アラン機関も謎すぎる組織で、まずどうやって才能を見抜いてるのかわからんし、機関の人間と認定者は接触してはいけないっぽいけど才能使ってないと干渉してきたりとよくわからん組織である。
結論:リコリス・リコイルとはなんだったのか
色々と納得いかない所を列挙してきたわけだが、別にリコリス・リコイルがダメな作品と言いたいわけではない。
2022年夏アニメではNo1アニメだろうし、アニメの出来(コンテ、作画、動画)のクオリティはここ数年レベルでもかなりクオリティが高い。
ただ、4話以降が残念だなぁと思ったのである。
美少女ガンアクションアニメとしてみれば良作であるのは間違いない。
終わり。