2022年1月から冬アニメとしてスローループが放送されている。
このアニメはまんがタイムきららフォワードに連載中の漫画が原作になっている。
映像化がかなりよかったのでまとめてみる。
今作品のストーリーは以下。
海辺でひとり、亡き父に教えてもらったフライフィッシングを嗜む少女・ひより。
そんな時に出会った天真爛漫な少女は、母親の再婚相手の娘・小春で…?
ひょんな出会いから「姉妹」になった小春とひよりと一緒に、「釣り」をしながらスローに過ごしてみませんか?
スローループ 1巻 裏表紙から
とあるように可愛い絵柄に反して重い設定である。
思春期の少女の繊細な感情を言葉だけでなく映像でもうまく表現している。
では、アニメ1話から映像表現について言及してみる。
冒頭でひよりが釣りをしているシーン。
釣れている魚は2匹で、これはひよりとひより母を表していると思われる。
スマホを取り出すシーン。
注目ポイントは電池残量で93%も残っている所、時間が16時超えているのに電池が93%も残っているということはスマホを使っていないということで、ひよりに友達が非常に少ないことがわかる。
小春登場シーン。
右から左へ走って登場、これは物理的というかひよりの心の中に入ってきたシーンといったほうがいいだろう。
小春が服を脱いて海に入ろうとするシーン。
この時ひよりのセリフにある通り3月であり、まだ海は寒い。
寒い海というのはひよりの心でもあり、父親を亡くしたことをまだ受け入れられないことを示している。
にもかかわらず、まったく気にせずに更に服を脱いで海(ひより)に入っていく小春の性格の表現。
単に開幕サービスシーンだけでなく登場人物の性格をうまく冒頭で示していると思う。
ひよりが小春を止めようとして竿を投げるシーン。
普通に考えたら竿を投げて止まるわけはないのだが、ひよりの動揺が見て取れる。
ひよりが投げた竿に引っかかって倒れるシーン自体は描かずに釣った魚のカットが挟まる。
冒頭の釣った魚のカットは2匹が向かいあってるが、このカットでは別々の方向を向いている。
小春の登場によりひよりとひより母の見る世界が変わったといっていいだろう。
小春が「寒い」というシーン。
このシーンの前にもつれ合って二人が急接近するが、そのあとのに小春がくしゃみをして「寒い」という。
つまり、物理的に寒いだけでなくひよりの心も冷たくなっている。
そしてロゴが表示されて、アニメ1話の冒頭が終了する。
この2分40秒の中でもひよりがどういう状態に置かれているか、小春がどういう人物かを映像的に説明できている素晴らしい1話の冒頭部分であった。
小春がお茶を飲んでるシーン。
服は着ているが、左側に座っている通りひよりの心に入っている。
ひよりが小春にフライフィッシングの説明するシーン。
ひよりのセリフ「お父さんがこれしか教えてくれなかったから」
解釈的にはお父さんが教えてくれた方法以外はやりたくないと捉えたほうがいいだろう。
ひよりの「お父さんがこれしか教えてくれなかったから」受けて察する小春。
ひよりと小春が魚を釣り上げ、3匹になる。
2匹が同じ方向を向いているから、ひよりと小春だとわかる。
小春とひより母の会話シーン。
キッチンの話なのだからキッチンの中に入ればいいのだが、外から会話している。
小春とひより母の距離感を示している。
ひよりが外に出ていくシーン。
こういうさりげないカットでも小春とひより母の微妙な距離感がわかる。
小春が漬け丼を作るシーン。
小春パパがでてきてサッと目を反らす。
しかし、回り込まれてしまって、反対側に視線を動かすひより。
ちょっとしたシーンだが、しっかりと演技させてるのがよい。
ただし、話しかけられたらしっかりと顔を向けるあたりいい子であるのもわかる。
以上、1話の映像的に素晴らしいシーンを上げてみた。
ちなみに話の流れやセリフはほぼ原作どうりである。
しかし、原作どうりだけではなく映像による表現をあちこちに入れてきて素晴らしい映像化になっている1話だった。